申告内容が虚偽であるという積極的な証明がないとして、無罪判決の要旨も公示されました
事件の概要
依頼人は土木工事を請け負って施工した事業者です。工事代金訴訟で相手方が「工事費を受け取った」という入金証を提出したため、依頼人はこれを偽造とみて相手方らを告訴しました。すると検察は、依頼人が自らその入金証を作成しておきながら虚偽の告訴をしたとして、虚偽告訴罪で起訴しました。
争点
依頼人が入金証を真正に作成したか、したがって告訴が客観的真実に反する虚偽の申告だったかが争点でした。
弁護士の対応
依頼人側は、入金証に自分の印鑑を押したことはなく、偽造だと考えて告訴したのだから、申告内容が虚偽であるという認識はなかったと主張しました。
裁判所の判断
裁判所は、入金証の印影が依頼人の実印でないことは肉眼でも明らかであり、同じ日に作成した別の契約書には実印を使っていた点に注目しました。録音の音やスキャン記録だけでは依頼人が入金証に押印したとは断定できず、入金証の原本も確認されていないとしました。民事訴訟では他の防御手段もあったため虚偽告訴の動機も弱く、捜査段階での供述の変化も記憶を呼び起こす過程だった可能性があると判断しました。
結果
裁判所は無罪を言い渡し、無罪判決の要旨を公示するよう命じました。
この事例の意味
虚偽告訴罪は、申告内容が虚偽であることが積極的に証明されてはじめて成立します。申告内容の真実性を確認できないという事情だけでは処罰されません。
個別の事件の結果であり、類似の事件で同じ結果を保証するものではありません。当事者保護のため、事実関係の一部を一般化しています。
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