債権者一覧から漏れた債務でも、その存在を知らなかった以上は免責されるとの判断を得ました
事件の概要
依頼人は以前の取引先である相手方から物品代金の訴訟を起こされていましたが、訴状と判決が公示送達(住所が分からない場合に裁判所の掲示などで送達したものとみなす方法)で処理されたため、その事実を知りませんでした。その後、依頼人は破産・免責を申し立てて免責決定を受けましたが、この債務は債権者一覧に記載されていませんでした。数年後、相手方はその判決に基づいて依頼人の銀行預金を差し押さえ、依頼人が自ら申告しなかった債務なので免責されていないと主張しました。
争点
免責を受けると、破産前に生じた債務の責任は原則としてすべて免除されますが、債務者が「悪意で」債権者一覧から外した債務は例外として残ります。依頼人がこの債務を知りながら一覧から外したのか、そしてその「悪意」を誰が立証すべきかが争点でした。
弁護士の対応
依頼人側は、免責された債務に基づく強制執行は許されないとして、請求異議訴訟(判決に基づく強制執行を止めるよう求める訴訟)を提起しました。相手方の以前の訴訟が公示送達で進められたことを示す資料を提出し、免責前に支払いの督促を受けたこともなく、債務の存在を知りようがなかったと主張しました。
裁判所の判断
裁判所は、「悪意」とは債務の存在を知りながら一覧に記載しなかった場合をいい、債務そのものを知らなかったのであれば不注意があっても悪意にはあたらないという大法院判例に従いました。また、悪意は、それを主張する債権者が立証すべきだと判断しました。相手方はこれを裏付ける証拠を出せず、裁判所は公示送達の経緯、免責前の督促がなかったこと、この債務を一覧に載せていても免責の結果は変わらなかったと考えられることから、依頼人は債務を知らなかったと判断しました。
結果
裁判所は依頼人の請求を認め、その判決に基づく強制執行を許さないとしました。ただし、依頼人が最初から一覧に記載していればこの訴訟は不要だったという事情を考慮し、訴訟費用は各自負担としました。
この事例の意味
免責後に一覧になかった債務で差押えを受けても、その債務を知らなかった事情が確認できれば、強制執行を争う余地があります。ただし結果は送達の経緯など具体的な事情で変わるため、申立ての段階で債権者を漏れなく把握しておくことが最も安全です。
個別の事件の結果であり、類似の事件で同じ結果を保証するものではありません。当事者保護のため、事実関係の一部を一般化しています。
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