20年以上暮らしてきた袋地の出入り道について、裁判所は会社の迂回路・念書の主張を認めませんでした
事件の概要
依頼人は、公道に直接つながる道のない土地、いわゆる袋地に家を建て、20年以上暮らしてきました。当初は隣地にあった農道を車で出入りしていましたが、その土地を買い取った会社が工場を建てたことで農道はなくなりました。その後、依頼人は会社の土地の一部を通路として使ってきましたが、会社は最近、境界にフェンスを巡らせ、通路上にコンテナと遮断機を設置して出入りを妨げました。依頼人は通行権の確認と妨害物の撤去、通行妨害の禁止を求めて提訴しました。
争点
囲繞地通行権とは、道のない土地の所有者が隣地を通って公道に出入りできる民法上の権利です。会社は、他に迂回路がある、依頼人が以前に通行権を放棄する趣旨の念書を書いた、工場の性質上部外者の出入りを制限すべきだ、などの理由で反論しました。依頼人にこの通路の通行権があるか、会社の反論が妥当かが争点でした。
弁護士の対応
依頼人側は、依頼人の土地は公道につながらない袋地であり、農道がなくなってからはこの通路を使うほかなかったと主張しました。コンテナと遮断機の撤去と通行妨害の禁止を求めるとともに、会社が判決に違反した場合に日ごとに金銭の支払いを課す間接強制もあわせて請求しました。
裁判所の判断
裁判所は、現場検証と測量鑑定の結果などをもとに、依頼人の土地と公道の間に必要な通路がないと認めました。会社も同じ土地を車両の通路として使っているため、依頼人が一緒に通っても会社の利益が大きく害されることはないと判断しました。会社のいう迂回路は人がやっと通れる小道で、一部はえぐれていて危険であり、家に出入りして日常生活を送るための通路とはいえないとしました。以前の念書は前の土地所有者に宛てたもので通行権の放棄とはみにくく、新たな所有者である会社に効力が及ぶものでもないこと、通行権を認めても誰でも出入りできるようになるわけではなく工場の運営に悪影響があるとはいえないことも判断しました。
結果
裁判所は、当該通路部分について依頼人に囲繞地通行権があることを確認し、会社にコンテナと遮断機の撤去と通行妨害の禁止を命じました。撤去部分には、判決確定前でも執行できるよう仮執行宣言を付けました。ただし間接強制の請求は、会社がすぐに判決に違反する可能性が高いとはいえず、必要なら後で別途申し立てられるという理由で認めず、訴訟費用は依頼人20%、会社80%の負担としました。
この事例の意味
道のない土地でも隣地を通行する権利が認められることがあり、その範囲はやっと歩ける程度ではなく、家に出入りして生活するのに必要な程度にまで及びます。過去に書いた念書があっても、その内容や宛先によって効力は変わり得ます。
個別の事件の結果であり、類似の事件で同じ結果を保証するものではありません。当事者保護のため、事実関係の一部を一般化しています。
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