株式投資の失敗と個人再生、裁判所の審査と債務増大経緯書
株式投資の失敗でできた借金は個人再生の対象にならないと思っている方は少なくありません。実際には申し立てることができます。ただし、生活費のためにできた借金より裁判所がより細かく審査する場合が多いため、何を見てどう準備するのかをまとめました。

ここ数年、国内外の株式やレバレッジ投資で大きな損失を出した後に個人再生のご相談に来られる方が大きく増えました。ご相談で最初に出る質問もたいてい似ています。
株で失ったお金も個人再生の対象になりますか? 投資でできた借金は再生から外れるのではありませんか?

株式投資の失敗でできた借金も個人再生の対象です
銀行の融資やクレジットカードの代金を株式につぎ込んで損失を出した場合でも、個人再生を申し立てることができます。次の取引で生じた債務も対象になり得ます。
- 国内株式と海外株式
- ETF
- レバレッジとインバース商品
- 信用融資と未収取引
ご相談で見られるケースもさまざまです。信用貸付やマイナス通帳で投資した場合、クレジットカードのキャッシングを利用した場合、海外株式やレバレッジETFで損失を出した場合、反対売買で一度に大金を失った場合にも、個人再生が進められています。

裁判所が審査で見る4つのこと
株式投資をしたという事実だけで個人再生が阻まれることはありません。裁判所は次の点をあわせて見ます。
- 債務が生じた時期。 最近になって借金が急に膨らんだかどうかを見ます。直近1年以内に生じた債務は清算価値に反映される可能性が高く、その分弁済金が上がることがあります。
- 投資の規模。 所得に比べて過度に無理な投資だったかどうかを見ます。
- 現在の所得。 今後、弁済計画を誠実に守ることができるかを見ます。再生直前に勤めていた職場より所得が下がっている場合は、この点をより深く審査します。
- 投資の経緯。 一度きりの株式投資の失敗なのか、投機的な取引を繰り返したのかを見ます。


損失の理由が結論を分けます
裁判所は、株をやっていたという一行だけで判断しません。投資を始めた経緯、損失が大きくなった過程、その後借金を返すためにどのような努力をしたかをあわせて確認します。
たとえば、失ったお金を取り戻そうと無理に追加投資をしたのか、生活費を補うために借入れを使ったのか、現在は投資をやめて誠実に働いているのかも、審査に反映されることがあります。そのため、事実関係を隠さず具体的に説明することが重要です。
債務増大経緯書はこう書きます
株式投資の失敗でできた借金は、債務増大経緯書の内容が特に重要です。株でお金を失ったという一文よりも、次の内容を順に書くほうが裁判所の審査に役立ちます。
- 投資を始めた理由
- 損失が生じた過程
- 損失の後に借金を解決しようとした努力
- 現在の経済状況

個人再生の準備中に避けるべき行動
- 借入れを増やして投資すること
- 損失を取り戻そうとする無理な売買
- 家族名義の口座で投資すること
- 財産を隠したり虚偽の申告をしたりすること
このような行動は、個人再生の手続きで不利に働くことがあります。
あらかじめ用意しておく資料
株式投資による債務は、生活費による債務より、裁判所が取引履歴と資金の流れを確認することが多くあります。次の資料を整理しておけば、補正命令を減らし手続きをスムーズに進めるのに役立ちます。
- 証券口座の取引履歴
- 入出金の履歴
- 借入金を何に使ったかを示す資料
- 債務増大経緯書
まとめ
株式投資の失敗があったからといって、個人再生ができないわけではありません。裁判所の審査の焦点は、損失が生じた経緯、現在の返済能力、今後弁済計画を守れるかどうかです。一人で時間を過ごすより、まずはご自身の状況に合った解決方法を確認してみてください。
最終確認日:2026-10-19 本記事は一般的な法律情報であり、具体的な判断はご相談を通じてご案内いたします。
