個人破産のデメリットと不便さ、個人再生との比較
個人破産は、借金に押しつぶされた人が新たに出発できるようにする制度ですが、デメリットのない制度ではありません。申し立てた後で知ると戸惑う現実的な不便さが確かにあります。個人破産を申し立てると実際に経験する七つのデメリットをまとめ、そのうち三つは個人再生と比較して見てみました。

信用取引がすべて止まります

個人破産をすると、与信取引が全面的に止まります。与信取引とは、信用で先に使って後で支払うすべての取引をいいます。
- クレジットカード
- ローン
- 当座貸越口座
- 掛け取引全般
一方、普通預金口座、預金と積立金、住宅請約口座のような単純な金融取引はそのまま行うことができます。当座貸越口座はローンなので、ここには含まれません。
破産宣告とともに先送りしていたことが現実になります
個人破産の最大の不便さです。申立てまで何とか食い止めてきたことが、破産宣告と同時に一斉に起こります。
- 住宅ローンの付いた住宅は競売にかけられます。
- 自動車ローンの付いた自動車は公売や競売が進められます。
- 事業関連の連帯保証は、保証人にすぐに取立てが向かいます。
- 物上保証として担保に入っている不動産はすぐに処分されます。

家族に移した財産も問題になります

破産前に配偶者、子ども、兄弟姉妹に財産を移したことがあれば、否認権行使の対象となることがあります。破産管財人が財産を隠した形跡があるとみれば、すでに移った財産も取り戻す手続に入ることがあります。こうした履歴がある場合は、申立ての前に必ず相談を受けるべき理由です。
職業によって資格が制限されます
一部の職業では、破産そのものが欠格事由です。弁護士、会計士、税理士、公務員全般が代表的です。以前は医師も問題になりましたが、現在は一部の職種にのみ制限が残っています。職業ごとに適用される法律が異なるため、個別に必ず確認する必要があります。
個人再生と比べるとよりはっきりする三つの点
信用回復がより遅いです
個人再生では、一括弁済や早期免責によって比較的早く信用を回復するケースがあります。個人破産では、免責後も最大5年間信用情報の記録が残り、カードの発行やローンはほぼ困難です。信用回復のスピードは再生よりはるかに遅い傾向があります。
禁止命令がありません
あまり知られていない部分です。個人再生は申立てとともに禁止命令を受けて取立てや差押えを止めることができますが、個人破産には禁止命令の制度がありません。破産を申し立てても、宣告が出るまでは債権者の取立てを受け続けなければなりません。書類に問題がなければ通常2か月から3か月以内に宣告が出ますが、その間はかなり不便なことがあります。
再び申し立てることがほぼ不可能です
個人再生は棄却されたり廃止されたりしても、再び申し立てることができます。個人破産は免責不許可になると、再申立てが非常に難しいか、事実上不可能です。そのため免責不許可事由がある場合は、最初から破産を選ばないことが重要です。
不便さを知ったうえで選ぶ個人破産
- クレジットカードとローンがすべて止まります。
- 競売と保証の問題が一度に現実になります。
- 家族に移した財産も取り戻されることがあります。
- 信用回復に最大5年かかります。
- 職業によって資格が制限されることがあります。
- 禁止命令がないため、宣告までは取立てが続きます。
- 免責に失敗すると、再び申し立てることはほぼ困難です。
個人破産にはこうした明らかなデメリットがありますが、この不便さを受け入れるだけのメリットが大きい制度でもあります。個人再生がよいのか個人破産が避けられないのかは、自分の状況に照らして丁寧に比較して選ぶことが大切です。
最終確認日:2026-10-19 本記事は一般的な法律情報であり、具体的な判断はご相談を通じてご案内します。
